2010年は「国際生物多様性年」です。

この生物多様性というものは、

“「生物多様性」とは、あらゆる生物種の多さと、それらによって成り立っている生態系の

　豊かさやバランスが保たれている状態を言い、さらに、生物が過去から未来へと伝える

　遺伝子の多様さまでを含めた幅広い概念”です。

要するに、動物・植物をはじめ細菌や微生物までの、

　　　　　種別や遺伝子レベルまでの生態系を含んだ、

　　　　　地球上の全生命体が、多様に存在している環境や状況

ということ、もっと簡単に言うと中学理科で習う「食物連鎖」に近い考え方でしょう。

・・・この言葉からは、直接事業活動や経営と関わるようなイメージは持てませんね。

まだ地球温暖化対策の方が、企業活動の中でも想像やすいですし、

直接影響していることへの意識(取組み)も心掛けしやすいでしょう。

地球温暖化対策などについては京都議定書＊などで国際的に定められていますが、

協定が締結された1997年当時は、日本を始め世界的にも温暖化防止の意識は低く、

その取組みも積極的には行われていなかったように思います。

　※「京都議定書」：1997年に京都で開催された温暖化防止のための国際会議

　　　　　　　　　　（気候変動枠組条約締約国会議）で締結された国際協定。
　　　　　　　　　　2008年から2012年（第一約束期間）において、

　　　　　　　　　　国内の二酸化炭素排出量を1990年時点から6％減らすことなどが

　　　　　　　　　　盛り込まれています。

しかし、ここ数年の中で企業活動による環境への影響が重要視されてきました。

地球温暖化防止の目標値が策定されると共に、

日本でも国や地方行政、業界団体など、多くの目標値や取組みが実施されています。

また、廃棄物の減量・リサイクル化、省エネルギー推進、地球温暖化対策、等の考え方は、

この十数年の間に、企業だけでなく国民的な認識や取組みにまで普及しています。

地球温暖化防止に対する世間の認識と同じように、

この生物多様性と言う考え方も今後大きく注目(主流化）され、

国民・国際的な認識と取組みに変わっていくことでしょう。

特に今年は第10回国際条約締約国会議：ＣＯＰ10＊が愛知・名古屋で開催されます。

　※COP：Conference of the Parties　国際条約締約国会議
　※開催期間 2010年10月11日（月・祝）～29日（金）
　　　　　　カルタヘナ議定書第5回締約国会合（COP/MOP5）：11日～15日
　　　　　　生物多様性条約第10回締約国会議（COP10）：18日～29日
　　　　　　閣僚級会合：COPのうち27日～29日

　　開催場所会場：名古屋国際会議場（名古屋市熱田区）
　　　　　　関連会場：白鳥会場、愛・地球博記念公園、栄地区

　　主催　　生物多様性条約事務局（カナダ・モントリオール）
　　開催国　（日本政府）は議長国として協力参加者数約8,000名

　　　　　　（各国政府関係者・国連関係者・NGOなど）

会議では、2002年にオランダで開催されたCOP 6で採択された

「生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる」という目標 (2010年目標)の

達成状況の検証と新たな目標（ポスト2010年目標）の策定が予定されています。

日本でも2008年6月には「生物多様性基本法」が制定され、その後2009年3月には

日本経団連から「生物多様性宣言」が発表されています。

どうやらこの生物多様性に関しても、今後は温暖化防止と同様に、

国や地方行政、業界団体などにより多くの目標値や取組みが導入されていく事でしょう。

そしてこの流れも、ビシネスモデルを構築する一つのチャンスになるかもしれません。

すでに、カーボンオフセット＊同様に、生物多様性オフセット取引も始まっているようです。

　※カーボンオフセット　経済活動や生活などを通して排出されたＣｏ２などの

　　　　　　　　　　　　温室効果ガスを、植林や森林保護、削減投資により

　　　　　　　　　　　　他の場所で排出量削減・吸収により埋合せすること

農産物、森林資源製品、水産ブランド、微生物商品、エコツーリズム(旅行)など

生物多様性を考慮（キーワード化）した商品やサービスが、

数年後には環境ビジネスの主流になっているかもしれませんね。

＜参考URL＞

生物多様性条約第10回締約国会議支援実行委員会

　http://cop10.jp/aichi-nagoya/index.html

環境省：平成21年6月23日地球温暖化対策の推進に関する法律関係省令の公布

　http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=11269

環境省自然環境局：企業と生物多様性

　http://www.biodic.go.jp/biodiversity/bbgl/20-1/1_ref1.pdf

日本経団連生物多様性宣言
　http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/026.html

環境省：カーボンオフセット

　http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset.html

地球温暖化対策の推進に関する法律

　law.e-gov.go.jp/htmldata/H10/H10HO117.html

生物多様性基本法

　law.e-gov.go.jp/htmldata/H20/H20HO058.html

エコツーリズム推進法

　www.env.go.jp/nature/ecotourism/law.html

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■■　　　【コラム ①】自社流の文化

先月、とある企業様にISOの審査でお伺いしました。

業界でも上位に位置する企業で上場もされています。

北海道から九州まで全国に多くの事業所があｒますが、

私はその中のあるエリアを中心に確認させていただきました。

多少のルールや記録の不備、理解不足は些事としか思えないほど、

とても熱心に堅実に仕組みを運用されていました。

この企業では“世界一になる”という全社共通の目的を掲げられています。

そのため全社として共通して取組むことやそのルールが定められていますが、

何よりも、その共通のルールを含めながら各エリア・各事業所ごとに

独自のマニュアルを作成運用されています。

マニュアルと言えば全社共通的なものをイメージしがちです。

ですが、この企業では“世界一になる”という目的の為に

　お客さんの特性、インフラの違い、人員の多少、地域特性やエリアでの認知度、

　などの自分達を取りまく経営環境が異なる為、すべきこともそれぞれ違うはず、

　だったら、ルールや仕組みも違って当然

ということで、エリアNo1の為に地方ルールの採用を認めておられます。

システム自体を導入してまだ数年しか経っていないとのことですが、

「別にISOであっても、それ以外の幾つかのシステムであっても、

　特別な事をしている意識は殆ど無く、

　今の自分達に必要な活動を定めて取組んでいるだけです」

と多くの方が仰ってました。

押し付けではなく、自分達で決めて自分達で活用するという姿勢が伺えましたし、

この考え方ができるのは創業からの中で作られた良い企業文化なのでしょう。

また、それぞれのエリアのトップの方々の関わり方も確認しましたが、

日頃から理想の姿となすべき事を粘り強く継続して発信している、

そして状況を丁寧に確認していることがよくわかりました。

従業員へのインタビューで返ってくる話はTOPの方が話される内容とほぼ同じで、

運用の記録等からもその状況は良く伝わってきます。

まるで、伝言ゲームが上手にできるように自分(自社)流にやり方を工夫して、

いつでも金太郎飴のように最初と最後が同じ状態を保ちながら、

頻繁な活動とコミュニケーションが行われています。

やはりシステムを上手く使いこなす企業は

どんなシステムであっても自社流にアレンジして、

有効なものに変えていく力があるようです。

逆に、続かない、批判や不満が充満する、温度差がある、等の症状が出る企業は

どんなシステム(ルールや決め事)を導入しても同じ症状が出やすいのかもしれません。

そしてトップの理念へのこだわりと粘り強い取組みが

有効な運用の源泉であることは間違いないことです。

ちなみに、この企業では会議や見直しの機会でも、

「今のやり方が顧客との関係においてBESTなのか？」

を常にテーマにしているとのことでした。

今までのやり方（ルール）や業界の慣習に対していつも自問自答しながら

自分達の最適なやり方を探す/変えることは大事な考え方です。

そんな意識を全員が維持できれば、自分達の業務環境の向上だけでなく、

顧客との関係向上にも大きく貢献してくれることでしょう。

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